2008'04.13.Sun
「おい、椥。」
さっきから何度呼びかけても、椥はその肩を震わせて嗚咽を漏らすだけ。いい加減雪見も苛々してきて、背を向ける椥の肩を掴んで振り向かせる。
椥の頬には幾重もの涙の跡が残っていて、雪見は自分で振り向かせておきながら困惑した。赤くなった鼻がスンと啼いて、気まずさのあまり自分から目をそらす。
「…その、よ。」
うつむいて言葉を慎重に選ぶ雪見を、椥は鼻をスンスン言わせながら見守る。
考えろ俺、こういうときにかけるべき言葉は一体なんだ。
自分を叱咤しても、コレだという気の効いた言葉は思いつかない。
記者自慢のボギャブラリーをここぞというときに発揮できず、苛々しそうだった。
雪見が言葉選びに慎重になっている間に、椥は再び雪見に背を向けようとする。
「オイ!」
雪見は再び強引に椥を振り向かせ、今度は正面からしっかりと彼女を見据えた。
涙に濡れて少し腫れた瞳に自分が映りこんでいるのは不思議だ。いつもならこんな風に接近することなどないから。
「…あのな、」
椥の向こうでテレビが鳴っている。その音すらどこか遠くに聞こえるほど、自身の心臓の音が騒がしい。
「その、だな。」
大きな瞳がぱちぱちと瞬いて雪見を見据える。無垢に見えて全てを見透かしていそうな瞳に、雪見は言葉を詰まらせ…
「悪かった…。」
椥の肩をそっと押し戻し、今度は雪見が椥に背を向ける番だった。
背後で椥が何のことやら首をかしげているのが手に取るようにわかる。
(動物奇想天外を見て勝手に号泣してる椥になんで俺が謝らねーといけねーんだよ。)
とりあえず慰めたかっただけなのに。
雪見は心の中で己の駄目っぷりを嘆くのだった。
***********************
今日の動物奇想天外は本当やばかった。
マリの映画はまだ見てないのですが、是非見て見たいです。
にしても数年ぶりに見てこんなに泣かされるとは…やっぱり動物奇想天外はいい番組ですね。
さっきから何度呼びかけても、椥はその肩を震わせて嗚咽を漏らすだけ。いい加減雪見も苛々してきて、背を向ける椥の肩を掴んで振り向かせる。
椥の頬には幾重もの涙の跡が残っていて、雪見は自分で振り向かせておきながら困惑した。赤くなった鼻がスンと啼いて、気まずさのあまり自分から目をそらす。
「…その、よ。」
うつむいて言葉を慎重に選ぶ雪見を、椥は鼻をスンスン言わせながら見守る。
考えろ俺、こういうときにかけるべき言葉は一体なんだ。
自分を叱咤しても、コレだという気の効いた言葉は思いつかない。
記者自慢のボギャブラリーをここぞというときに発揮できず、苛々しそうだった。
雪見が言葉選びに慎重になっている間に、椥は再び雪見に背を向けようとする。
「オイ!」
雪見は再び強引に椥を振り向かせ、今度は正面からしっかりと彼女を見据えた。
涙に濡れて少し腫れた瞳に自分が映りこんでいるのは不思議だ。いつもならこんな風に接近することなどないから。
「…あのな、」
椥の向こうでテレビが鳴っている。その音すらどこか遠くに聞こえるほど、自身の心臓の音が騒がしい。
「その、だな。」
大きな瞳がぱちぱちと瞬いて雪見を見据える。無垢に見えて全てを見透かしていそうな瞳に、雪見は言葉を詰まらせ…
「悪かった…。」
椥の肩をそっと押し戻し、今度は雪見が椥に背を向ける番だった。
背後で椥が何のことやら首をかしげているのが手に取るようにわかる。
(動物奇想天外を見て勝手に号泣してる椥になんで俺が謝らねーといけねーんだよ。)
とりあえず慰めたかっただけなのに。
雪見は心の中で己の駄目っぷりを嘆くのだった。
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今日の動物奇想天外は本当やばかった。
マリの映画はまだ見てないのですが、是非見て見たいです。
にしても数年ぶりに見てこんなに泣かされるとは…やっぱり動物奇想天外はいい番組ですね。
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