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欠片むすび

ポケスペのSSや日記などを書いていこうと思います。

2024'05.18.Sat
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2009'12.04.Fri
「ああ、上を向いたら気管に入っちゃうからダメですよ!」



 慌てた声が、暗い洞窟の天上を仰いだワタルを制止した。
 ちらつく炎に照らし出された華奢な腕が、下を向くようにと、整髪剤で固めた後頭部を静かに引き寄せる。
 ワタルは顔の横を通って後ろに伸びたその腕を掴み、グイと己に引き寄せた。
 別に、少女の行為に腹を立てたわけではない。
 なんとなく、「こうしたらどうなるのだろう」と思っての行動だった。
 ふらついた少女の体はそのままスッポリとワタルの腕の中に納まる。



「えっと、どうされました。」
「気にするな。」



 その一言は、物言いたげな顔を浮かべる少女を黙らせるに十分だったようで。
 少女はキョトンとしつつも、大人しくワタルの腕の中に囲われる。
 腕の中の小さな体は、冷えたワタルの体にじんわりとした温もりを与えてくれて、幼い頃に初めて抱きしめたミニリュウの体温を連想させた。
 続けて思い出したのは、ミニリュウがポケモン用の罠によって怪我を負い、血を流しながら冷たくなっていく時のこと。
 あの時、自分には力がなくて、命の源を垂れ流すミニリュウの体をただただ抱きしめることしか出来なかった。
 トキワシティに生まれた子どもは時折特殊な力を持つと言われ、ワタルもそのうちの一人だったが、当時はポケモンの心が少し読み取れる程度で、癒しの力は覚醒していなかった。
 あのときほど、己の無力を呪ったことは無い。
 結局、ミニリュウを助けることは出来ず。
 初めて得た他の温もりを、初めて失った瞬間だった。



「…さん、ワタルさん?」



 いつの間にか意識がフェードアウトしていたらしい。
 腕の中から呼びかける少女の声に、ハッとする。
 無意識の内に、掴んでいた腕に力が入っていたのか。
 握った少女の腕は、うっすらと内出血を起こしていた。



「すまない、力を入れすぎた。」
「大丈夫ですよ。痛く無いですから。」



 そんなわけ無いだろうと言いかけ、止める。
 心配かけまいと微笑む少女の気遣いを無下にするのは気が引けた。
 けれども、白い肌の内側に滲む血は、どうしてもあのミニリュウを彷彿とさせて。



 もう二度と、あの温もりを失いたくない、と。
 少女を強く抱きしめた。









**********






よくわからない文章になってしまった。
ちなみにヒロインは洞窟内で鼻血を出したワタルさんを介抱している設定です。
本当よくわからない。

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