2009'12.12.Sat
踏み出した足が深く積もった雪道に深い穴を作る。つま先がむき出しになったミュールは当然雪を通し、その結果タイツの足先の部分が盛大に濡れた。雪用のブーツを履いていないことを後悔するが、今から取りに戻るのも時間の無駄だと首を振る。仕方ないから、頼れる相棒をボールから出してその背に乗った。ふかふかの毛に包まれた相棒は、零下の中でもちっとも寒く無さそうだ。
「ウインディ、レッドが何処にいるか分かる?」
ナギの問いかけに、ウインディは鼻を空に向けて数度ヒクヒクさせた。ポケモンのなかでも格別に嗅覚がいいウィンディは、たとえ辺りが雪一面だろうが、一度嗅いだことがある匂いを敏感にかぎ分ける。粉雪に紛れた主の探し人の香りを見つけたウインディは、指示を待たずしてその毛に覆われた太い後ろ足で雪を蹴った。大きな体躯は雪をかきわけ、ズイズイと先に進んでいく。ナギは振り落とされないようにしっかりと首に抱きつきながら山頂を見上げた。頂は白い煙の中に覆われて見えない。吹雪いているのは明らかだ。
今日こうしてシロガネ山を訪れたのは、当初の予定にはなかったことだった。だから靴は完全に雪山とは無縁のミュールを履いているし、上着は防寒性の低い薄手のトレンチコート、その下は丈が短いニットワンピースを着ている。ウインディの温かい体に掴まっていなければ、ものの数秒で体の芯まで凍ってしまうような軽装だ。ブルーと一緒にタマムシデパートでショッピングをするだけの予定だったから、外を出歩くことも少なく、そこまで重装備でなくてもいいだろうと思っての服装だった。しかし、デパートでレッドに似合いそうなマフラーを見つけて買ってしまい、すぐ届けたかったのでその足で来たのだ。だが、比較的暖かいグレンタウンで育ったナギに雪山の寒さは致命的とも言える。
「寒いね…。」
無意識に寒さに対する言葉が口をついて出ていた。ウインディは心配するように背の上の主を見る。自分は炎ポケモン、その身に炎を宿しているから、少々毛が無くなろうが寒さには強い。だからこの毛皮を分けることが出来たらいいのに―――その気持ちに反応するように、ナギの腰のボールがカタカタと揺れた。ナギが開閉スイッチを押す前に、自らの意思で白い煙と共に外に出てくる。
「イーブイ?」
首元を白いふさふさの毛に覆われたイーブイが、自分に抱きつけといわんばかりにナギの腕の中に鎮座した。途端に茶色いボディが燃えるような緋色に染まり、炎のような体毛に変化する。このイーブイは遺伝子操作を受けて作られた特殊な固体故、己の意思でイーブイ族に体質を変化できる。今イーブイは、炎袋をその身に宿すブースターに変化し、ナギを暖めようとしていた。
「ありがとう。助かるわ。」
ぎゅっと抱きしめればイーブイは嬉しそうにキューと鳴いた。とても暖かい。これなら凍えることなくレッドの元までたどり着けるだろう。ウインディに足元を、イーブイに上半身を暖めてもらいながら、雪深い山肌を進み続ける。てっきり山頂を目指すのかと思いきや、ウインディは山頂への道を逸れて森に向かった。クリスマスによく目にする木の合間をぬって行けば、黄色い背中が白いカーペットの上にちょこんと座っていた。レッドのピカであるのは尻尾の傷で一目瞭然だ。体重が軽いためだろう、体はほんの少ししか雪に沈んでいない。
「ピカ!」
ナギの呼び声にピカは大きく耳を揺らし、振り向く。ピカピ!と鳴いたと思ったら、雪の上を猛烈なスピードで駆けてウインディの頭の上に飛び乗り、再会を喜ぶようにナギの頬に己の頬を擦り付けた。
「ピッピカ~。」
言葉はわからないが歓迎されているのはピカの態度と顔つきで分かる。ピカが居るということはレッドも必ず近くにいるはずだ。ナギが尋ねるより先に、ピカはウインディから飛び降りて、白い雪の上を小さな足跡をつけながら木々の奥へ駆けていった。
「ピカ、どうしたんだよ。」
聞きなれた声がピカが走っていったほうから聞こえ、ナギはほっとする。レッドの声に違いない。レッドは雪を掻き分けながらピカを頭に乗せてやってくる。その瞳がナギを捉えた瞬間、これでもかというくらい嬉しそうな笑顔を見せた。ずんずんと雪をかき、ウインディの側まで来てナギに両手を伸ばす。イーブイが二人の邪魔をしないように、ぴょんと地面に下りた。ナギはレッドの手に掴まり、ウインディの背から雪の上に飛び降りる。足が雪を深くえぐり、その身はずっぽりと雪に沈んだ。やはり成人に近い人間の体重では、ピカチュウやイーブイのように雪に受け止めてはもらえないらしい。
「ナギ、きてくれたんだ。」
「久しぶりだね。」
*****************
明日は嫁とデートなのでここまで!
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「ウインディ、レッドが何処にいるか分かる?」
ナギの問いかけに、ウインディは鼻を空に向けて数度ヒクヒクさせた。ポケモンのなかでも格別に嗅覚がいいウィンディは、たとえ辺りが雪一面だろうが、一度嗅いだことがある匂いを敏感にかぎ分ける。粉雪に紛れた主の探し人の香りを見つけたウインディは、指示を待たずしてその毛に覆われた太い後ろ足で雪を蹴った。大きな体躯は雪をかきわけ、ズイズイと先に進んでいく。ナギは振り落とされないようにしっかりと首に抱きつきながら山頂を見上げた。頂は白い煙の中に覆われて見えない。吹雪いているのは明らかだ。
今日こうしてシロガネ山を訪れたのは、当初の予定にはなかったことだった。だから靴は完全に雪山とは無縁のミュールを履いているし、上着は防寒性の低い薄手のトレンチコート、その下は丈が短いニットワンピースを着ている。ウインディの温かい体に掴まっていなければ、ものの数秒で体の芯まで凍ってしまうような軽装だ。ブルーと一緒にタマムシデパートでショッピングをするだけの予定だったから、外を出歩くことも少なく、そこまで重装備でなくてもいいだろうと思っての服装だった。しかし、デパートでレッドに似合いそうなマフラーを見つけて買ってしまい、すぐ届けたかったのでその足で来たのだ。だが、比較的暖かいグレンタウンで育ったナギに雪山の寒さは致命的とも言える。
「寒いね…。」
無意識に寒さに対する言葉が口をついて出ていた。ウインディは心配するように背の上の主を見る。自分は炎ポケモン、その身に炎を宿しているから、少々毛が無くなろうが寒さには強い。だからこの毛皮を分けることが出来たらいいのに―――その気持ちに反応するように、ナギの腰のボールがカタカタと揺れた。ナギが開閉スイッチを押す前に、自らの意思で白い煙と共に外に出てくる。
「イーブイ?」
首元を白いふさふさの毛に覆われたイーブイが、自分に抱きつけといわんばかりにナギの腕の中に鎮座した。途端に茶色いボディが燃えるような緋色に染まり、炎のような体毛に変化する。このイーブイは遺伝子操作を受けて作られた特殊な固体故、己の意思でイーブイ族に体質を変化できる。今イーブイは、炎袋をその身に宿すブースターに変化し、ナギを暖めようとしていた。
「ありがとう。助かるわ。」
ぎゅっと抱きしめればイーブイは嬉しそうにキューと鳴いた。とても暖かい。これなら凍えることなくレッドの元までたどり着けるだろう。ウインディに足元を、イーブイに上半身を暖めてもらいながら、雪深い山肌を進み続ける。てっきり山頂を目指すのかと思いきや、ウインディは山頂への道を逸れて森に向かった。クリスマスによく目にする木の合間をぬって行けば、黄色い背中が白いカーペットの上にちょこんと座っていた。レッドのピカであるのは尻尾の傷で一目瞭然だ。体重が軽いためだろう、体はほんの少ししか雪に沈んでいない。
「ピカ!」
ナギの呼び声にピカは大きく耳を揺らし、振り向く。ピカピ!と鳴いたと思ったら、雪の上を猛烈なスピードで駆けてウインディの頭の上に飛び乗り、再会を喜ぶようにナギの頬に己の頬を擦り付けた。
「ピッピカ~。」
言葉はわからないが歓迎されているのはピカの態度と顔つきで分かる。ピカが居るということはレッドも必ず近くにいるはずだ。ナギが尋ねるより先に、ピカはウインディから飛び降りて、白い雪の上を小さな足跡をつけながら木々の奥へ駆けていった。
「ピカ、どうしたんだよ。」
聞きなれた声がピカが走っていったほうから聞こえ、ナギはほっとする。レッドの声に違いない。レッドは雪を掻き分けながらピカを頭に乗せてやってくる。その瞳がナギを捉えた瞬間、これでもかというくらい嬉しそうな笑顔を見せた。ずんずんと雪をかき、ウインディの側まで来てナギに両手を伸ばす。イーブイが二人の邪魔をしないように、ぴょんと地面に下りた。ナギはレッドの手に掴まり、ウインディの背から雪の上に飛び降りる。足が雪を深くえぐり、その身はずっぽりと雪に沈んだ。やはり成人に近い人間の体重では、ピカチュウやイーブイのように雪に受け止めてはもらえないらしい。
「ナギ、きてくれたんだ。」
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