2010'01.02.Sat
※該当者様は反転でご覧下さい
*************
七様
ご心配おかけして申し訳ありません。
ただいま療養中ですが、徐々に回復していっております。
元気になりましたらモリモリ小説を書かせていただきますね!
恵美様
あけましておめでとうございます。
長いことお待たせしてすみません。
キリ番についてなのですが、リク内容は暗い虹一夢でよろしかったでしょうか?
裏要素は少し省かせていただけたら…と思っております。
メールアドレスをご記入いただいておりませんので、書きあがったら隠夢の所にアップすることでキリリク消化のご連絡とさせていただきます。
御了承くださいませ。
水無月 澪様
どうも初めまして。あけましておめでとうございます。
このたびは初メッセージありがとうございますね。
ポケスペの原作沿い夢は、もはや恋愛要素の微塵もございませんが、女子達との熱き友情(?)を楽しんでいただければ…と思っております(笑)
書きたいことが増えてしまってにっちもさっちも行かない状態ではございますが、ヤドン更新にめげずに付いていただければ幸いです。
本年もよろしくお願い申し上げます。
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2009'12.30.Wed
PC画面に映るのは、これでもかというくらい頭をツンツンに盛った緑の瞳のキャラクターだった。嫌になるほど試合を申し込まれ、何度も叩きのめしてきた幼馴染みだ。あーなんでこんなナルシスト顔の男が目の前にいるんだよ、ナギを出せナギを、とレッドはボソボソ愚痴る。幸いその呟きをマイクが拾い相手のヘッドフォンに届けることは無かった。そのせいか分からないが、目の前の幼馴染みを象ったキャラクターgreenは、とてつもなく笑顔を浮かべている。嫌味なくらいの笑顔にイラッとしたレッドは、クルリと背を向けて洞窟の奥に引っ込んだ。こういうときのグリーンはやけにテンションが高く、相手をするのが疲れるのだ。けれどもグリーンは案の定レッドの後を付いて歩き、しぶとく追いかけることを止めない。
「グリーンってストーカー?変態?ホモ?」
「今のオレは最高に気分がいいからな。そんな罵倒耳に入りやしねーよ。」
「…鬱陶しい。」
***********
だ、だめ。つかれt…
「グリーンってストーカー?変態?ホモ?」
「今のオレは最高に気分がいいからな。そんな罵倒耳に入りやしねーよ。」
「…鬱陶しい。」
***********
だ、だめ。つかれt…
2009'12.29.Tue
2009'12.27.Sun
携帯のディスプレイに「12月27」の日付がシャープな黒い線で表示されている。間違いなくそれは今日の日付であり、今この瞬間の日にちをあらわしたものだった。けれどもPC画面に映るピンク色のブログの日付は、12月18日でその筆跡を止めている。
「なんで、更新が止まってるんだ…。」
レッドは薄暗い部屋の中、わななく唇で放心したように呟いた。
今画面に表示させているのは、一体何処の誰が書いたものか知らないが、ポケットモンスターオンラインでレッドが操作しているキャラクター「red」と、自由に名前を変換できる架空の「ヒロイン」の夢小説をつらつらと書き連ねているブログで、レッドは最初こそ「何勝手にオレを使って意味の分からない事やってるんだ」とぼやいていたものの、そのヒロインの名に己の好きな子の名を入れることによって、いつの間にか逆夢小説として楽しむようになっていた。
割と更新頻度の高いサイトだったため、来る12月24日ないし25日、世間でいわゆるクリスマスと騒がれる日の更新を心待ちにしていたのだが、このブログの管理人は見事にレッドの期待を裏切って24日と25日は更新せず、それどころか数日たった今ですらクリスマスネタをアップしようとする気配が無い。見事なまでの放置プレイをかまされたイライラで、無意識に噛んでいた左親指の爪はすっかりゲジゲジになっていた。終いにはとうとう血まで出てきたものだから、レッドは棚の奥底に仕舞ってあるはずの絆創膏を探すために手を突っ込み、かき混ぜるように探る。
レッドが夢小説、特にクリスマスネタに期待を寄せるのには、ちょっとした事情がある。というのも、ナギの勤め先の雑貨屋はクリスマスの直前から終わり直後のセールまで猛烈に忙しいため、クリスマス当日どころかここ1週間ろくに会っていないなかった。24日の晩はレッドの母親が買ってきたクリスマスケーキを一緒に食べはしたが、一緒に居られた時間はほんのわずか。ケーキを食べた後、翌日に備えて帰ろうとするナギを引き止めたくても引き止められない悔しさに涙したのは3日前のことだ。本当は用意していたプレゼントの事も言い出せないまま、寂しいクリスマスを過ごした。ちなみにナギからもプレゼントは貰っていない。
三次元で埋められない寂しさを二次元に求めるのは、言うなれば自然の摂理。だからこそレッドはとろけるように甘ぁ~いクリスマス夢を心待ちにしていたのだが、盛大に期待を裏切られたショックや怒りはそう簡単に無くなりはしない。
怒りに身を任せて棚を漁るが、なかなか目当ての絆創膏は見つからない。必要でないときはぽろっと出てくるというのに、どうして肝心なときに見つからないのか。
イライラしつつ棚漁りを続けていると、途端に部屋のドアが押し破られるように開いた。絆創膏探しに集中していたレッドは階段を上ってくる足音に全く気付かず、ぎょっと振り向き、その視界にお隣さんの姿を捉えるなり半眼になる。
「ノックくらいしろよ。オレとナギが愛の営み中だったらどうするんだ。」
「お前その顔でさらっとシモネタ言うなよ。それにナギならさっき雑貨屋で見たし。」
「あー、まだ仕事中か。ってか何でお前が雑貨屋に?まさか!オレのナギに興味が」
「いつからお前のものになったんだよ。…シロがクリスマス後のセールを狙ってアクセ買いあさりたいって言ってたからちょっと見てきただけだ。そしたらナギがレジ打ってた。」
「ふーん。シロと行ったのか?」
「いや…シロは明日姉さんと行くってよ。」
「はっはっは、乙!」
口では笑っているものの、相変わらずジト目で睨んでくるレッドに、グリーンは来るタイミングを間違えたと思った。不機嫌なのは一目瞭然だ。けれども来てしまったからには用件を述べなければなるまい。手にした紙切れを握り締めて、見ろといわんばかりにレッドの胸元にそれを押し付ける。レッドはそれを受け取って用紙に散りばめられた細かい文字に視線を走らせると、途端に凍りついたような表情を浮かべ、手元を震わせはじめる。
「グ、グリーン…、これ。」
「凄いだろ!「green」、つまりオレだな。オレとヒロイン…シロのクリスマス夢だ!最近のポケオン(ポケットモンスターオンラインの略)夢小説は、このグリーン様が一番人気なんだぜ!」
「なんだって!?」
「確かにお前は<原点にして頂点>なんていうご大層な二つ名を持って有名だが、いかんせん人との接点を持たなすぎなんだよ。オレはINしたらその都度他のプレイヤーに優しく接してきたからな、お陰で夢書き達の間でも大人気だぜ。」
「くっ…。」
まさかお隣に人気を掻っ攫われていたとは。っていうかお前も夢小説読んでるのかよ、医大の勉強どうした、と突っ込みたい。レッドは手の中のgreen×ヒロインの夢小説を粉々に破いた後、グリーンの家で飼っているゴールデンレトリバーのイーブイにオシッコをぶっ掛けさせてやりたいた気持ちに駆られるが、そんなことすれば目の前のグリーンがニヤニヤするだけであることは分かっている。そうさせることが相手の狙いだ。レッドはふつふつと湧き上がる怒りを限界まで押し殺し、出来うる限りの作り笑いで小説がタイピングされた印刷用紙を付き返した。
「ナギを迎えに行って来る。」
「そうか。外寒いぞ。」
己より少し背の低い黒髪が脇をすり抜けて部屋を出て行くさまを、グリーンはちらりと流し見て、ん?と首を傾げる。今のさり気ない一連の流れが、とてつもない違和感を孕んでいる気がする。壁にかかった時計を見る。時刻は20時前だ。
「おいレッド!まだ九時なってないぞ!」
レッドが21時前に家から出るなんて、グリーンが知る限りでは初めてのことだった。いくら冬のせいで夜が来るのが早く外が暗いといっても、人通りは決して少ないわけではない。人とすれ違うことを恐れるレッドがこうして人と出会う確率がある時に自らの意思で外に出るなど、考えられないことだ。グリーンは慌てて後を追おうと二階から転がるように下りて玄関から駆け出しかけ、ふとその足を止める。
「これは…止めないほうが正解なのか…?」
どんどん小さくなっていく引きこもりの幼馴染みの背中を見て、グリーンは戸惑いに立ち尽くす。木枯らしが、迷いをあざ笑うかのように手の中の印刷紙をガサガサと揺らしては吹き抜けて行った。
心頭滅却すれば火もまた涼しという言葉がある。無念無想の境地にあれば、どんな苦痛も苦痛と感じないという意味で、1582年甲斐(かい)国の恵林寺が織田信長に焼き打ちされた際、住僧快川(かいせん)がこの偈(げ)を発して焼死したという話が伝えられているが、今のレッドはこの逆だった。管理人やらグリーンに対する怒りはすっかり頂点に達し、頭だけでなく、身体の全てが熱くグツグツと煮えたぎっている。黒の半そでTシャツにジーパンという真夏の装いのまま、木枯らし吹き荒れる薄暗い寒空の下に繰り出しても、寒さなど全く感じられない。絆創膏を巻けずに終った左親指の爪の痛みだって感じない。血も固まってしまっている。人に会う恐れすらも頭から吹き飛んだレッドが向かうのは、<真白町>唯一の雑貨屋だ。
道中数人の若い男女や老人とすれ違い視線を集めたが、怒りで前が見えていないレッドは完全にそれらの視線をスルーした。雑貨屋まではそう遠くなく、すぐさま店にたどり着く。携帯に表示された時刻は20時2分、ついさっき営業が終了したところだ。案の定店のドアにはcroseの看板がかかっていて、擦りガラスの向こうで人が動いている様子が見て取れる。ラストまで勤務している店員が閉店作業をしているのだろう。そのうち「お疲れさまです」という聞きなれた声が聞こえ、croseの看板が揺らぎドアが開いた。強盗よけの淡いオレンジ光ライトがついたままになった店内から、見慣れた少女が出てくる。少女はドア前に突っ立ったレッドに一瞬身をひるませるが、その顔を見てきょとんと眼を見開き、次の瞬間驚きに叫ぼうと口を開いた。すかさずレッドはその口を乱暴だとは思いつつ手で押さえ込む。
「むっむ!?!?」
「しー、大声出したら中の人が驚いて出てくるだろ。」
「むぅむむ。」
レッドはナギがコクコクと頷いたことを確認して手の口枷を解く。ナギはぷはっと息を吐いて吸い込み、なんと言ったらよいのか、と口を金魚のようにパクパクさせる。そんな仕草も相変わらず可愛いなぁと思いつつ、頭を撫でてさり気なく腰なんか引き寄せてみて、途端に外気の寒さを認識した。半袖Tシャツで真冬に飛び出してきたのだから当然だ。腕の中のナギは、さっきまで暖かい店内にいたせいか着ているものまで暖かい。無意識の内に熱を貰うかのように、その身をぐっと引き寄せてピトリと胸と胸を合わせた。いつもなら恥ずかしそうに身を縮ませるナギも、どうやら今日は違うらしい。興奮のせいか外気に触れたせいか分からないが、鼻先と頬をほんのり赤く染め、白い息を吐き出しながらレッドに詰め寄る。
「こんな時間にどうしたの!?」
ナギもグリーンと同じく、レッドが21時より前に家の外に出ている現場を目撃するのは小学校時に引きこもりが始まって以来初めてのことだった。驚かざるおえない出来事に、潜めた声もやや興奮気味でトーンが高い。
「ナギに会いたくて仕方なかった。」
白い息と共に吐き出されたレッドの言葉に、ナギは「へっ?」と声をあげる。言葉の意味を理解するにつれて、だんだんと顔全体が赤く染まっていくのが見ていて面白い。レッドに見つめられ、ナギはその変化を隠すように下を向くが、途端に気温の変化による鼻水が流れ落ちそうになって、慌てて顔をあげた。いつになく近い体と瞳の距離に落ち着かないのか、キョロキョロと周囲を見回しては時折レッドの表情を窺い見る。けれどもレッドが半袖なことに気付くなり、驚愕に眼を見開いてむき出しの二の腕を掴み取った。
「なんで長袖着てないの!寒くないの!?」
「ナギが側にいてくれたら暖かいよ。」
「そういう問題じゃなくって…!」
あー、もうっ。
白い吐息と一緒に少しだけ怒った声が口から漏れる。ナギは普段荷物を入れているショルダーバッグとは別の大き目の紙袋からラッピングされた包みを取り出して、レッドの胸の辺りに押し付けた。
「コレ使って。」
「なにこれ。」
ナギは何も言わず、そっぽを向いてレッドの腕からスルリと抜ける。そしてレッドを置き去りにしたまま荒々しく歩き始めた。別にそこまで腹を立てているわけではなく、近い距離に動揺してしまったことを悟られないためだった。
1人取り残されたレッドは、渡された包み(緑色の包装用紙にワインレッドのリボンとヒイラギの葉、メッセージカードが添えられている)を慎重に開く。中にはふんわりとした毛糸であまれたマフラーが入っていた。どことなく網目が揃っていない。店頭に並んでいる商品らしからぬ不ぞろいさに、もしや、と淡い期待が脳裏をよぎる。添えられたメッセージカードには女性らしいピンク色のペンで一文。
―遅くなった上にへたくそでごめんね、メリークリスマス。―
気付けばレッドは走っていた。少し先の小さな背中にすぐさま追いついて、その腕を取る。もちろんマフラーはしっかりと抱えたままで。驚いたように振り向くナギを引き寄せて、レッドは幸せをかみ締めるようにその耳元で呟いた。
「メリークリスマス。」
少し遅めのクリスマスを迎えた二人を祝福するかのように、木枯らしにまぎれた白い妖精達が降り始める。一段と寒さを増しはじめた夜の闇に紛れた1対の緑の瞳が、その様子を静かに見守っていた。
****************
クリスマスネタ放置してごめんなさいレッドさんごめんなさい。
超絶スランプです。先週から内定先の研修が始まってちょっと忙しいので、更新が遅くなると思います…。
「なんで、更新が止まってるんだ…。」
レッドは薄暗い部屋の中、わななく唇で放心したように呟いた。
今画面に表示させているのは、一体何処の誰が書いたものか知らないが、ポケットモンスターオンラインでレッドが操作しているキャラクター「red」と、自由に名前を変換できる架空の「ヒロイン」の夢小説をつらつらと書き連ねているブログで、レッドは最初こそ「何勝手にオレを使って意味の分からない事やってるんだ」とぼやいていたものの、そのヒロインの名に己の好きな子の名を入れることによって、いつの間にか逆夢小説として楽しむようになっていた。
割と更新頻度の高いサイトだったため、来る12月24日ないし25日、世間でいわゆるクリスマスと騒がれる日の更新を心待ちにしていたのだが、このブログの管理人は見事にレッドの期待を裏切って24日と25日は更新せず、それどころか数日たった今ですらクリスマスネタをアップしようとする気配が無い。見事なまでの放置プレイをかまされたイライラで、無意識に噛んでいた左親指の爪はすっかりゲジゲジになっていた。終いにはとうとう血まで出てきたものだから、レッドは棚の奥底に仕舞ってあるはずの絆創膏を探すために手を突っ込み、かき混ぜるように探る。
レッドが夢小説、特にクリスマスネタに期待を寄せるのには、ちょっとした事情がある。というのも、ナギの勤め先の雑貨屋はクリスマスの直前から終わり直後のセールまで猛烈に忙しいため、クリスマス当日どころかここ1週間ろくに会っていないなかった。24日の晩はレッドの母親が買ってきたクリスマスケーキを一緒に食べはしたが、一緒に居られた時間はほんのわずか。ケーキを食べた後、翌日に備えて帰ろうとするナギを引き止めたくても引き止められない悔しさに涙したのは3日前のことだ。本当は用意していたプレゼントの事も言い出せないまま、寂しいクリスマスを過ごした。ちなみにナギからもプレゼントは貰っていない。
三次元で埋められない寂しさを二次元に求めるのは、言うなれば自然の摂理。だからこそレッドはとろけるように甘ぁ~いクリスマス夢を心待ちにしていたのだが、盛大に期待を裏切られたショックや怒りはそう簡単に無くなりはしない。
怒りに身を任せて棚を漁るが、なかなか目当ての絆創膏は見つからない。必要でないときはぽろっと出てくるというのに、どうして肝心なときに見つからないのか。
イライラしつつ棚漁りを続けていると、途端に部屋のドアが押し破られるように開いた。絆創膏探しに集中していたレッドは階段を上ってくる足音に全く気付かず、ぎょっと振り向き、その視界にお隣さんの姿を捉えるなり半眼になる。
「ノックくらいしろよ。オレとナギが愛の営み中だったらどうするんだ。」
「お前その顔でさらっとシモネタ言うなよ。それにナギならさっき雑貨屋で見たし。」
「あー、まだ仕事中か。ってか何でお前が雑貨屋に?まさか!オレのナギに興味が」
「いつからお前のものになったんだよ。…シロがクリスマス後のセールを狙ってアクセ買いあさりたいって言ってたからちょっと見てきただけだ。そしたらナギがレジ打ってた。」
「ふーん。シロと行ったのか?」
「いや…シロは明日姉さんと行くってよ。」
「はっはっは、乙!」
口では笑っているものの、相変わらずジト目で睨んでくるレッドに、グリーンは来るタイミングを間違えたと思った。不機嫌なのは一目瞭然だ。けれども来てしまったからには用件を述べなければなるまい。手にした紙切れを握り締めて、見ろといわんばかりにレッドの胸元にそれを押し付ける。レッドはそれを受け取って用紙に散りばめられた細かい文字に視線を走らせると、途端に凍りついたような表情を浮かべ、手元を震わせはじめる。
「グ、グリーン…、これ。」
「凄いだろ!「green」、つまりオレだな。オレとヒロイン…シロのクリスマス夢だ!最近のポケオン(ポケットモンスターオンラインの略)夢小説は、このグリーン様が一番人気なんだぜ!」
「なんだって!?」
「確かにお前は<原点にして頂点>なんていうご大層な二つ名を持って有名だが、いかんせん人との接点を持たなすぎなんだよ。オレはINしたらその都度他のプレイヤーに優しく接してきたからな、お陰で夢書き達の間でも大人気だぜ。」
「くっ…。」
まさかお隣に人気を掻っ攫われていたとは。っていうかお前も夢小説読んでるのかよ、医大の勉強どうした、と突っ込みたい。レッドは手の中のgreen×ヒロインの夢小説を粉々に破いた後、グリーンの家で飼っているゴールデンレトリバーのイーブイにオシッコをぶっ掛けさせてやりたいた気持ちに駆られるが、そんなことすれば目の前のグリーンがニヤニヤするだけであることは分かっている。そうさせることが相手の狙いだ。レッドはふつふつと湧き上がる怒りを限界まで押し殺し、出来うる限りの作り笑いで小説がタイピングされた印刷用紙を付き返した。
「ナギを迎えに行って来る。」
「そうか。外寒いぞ。」
己より少し背の低い黒髪が脇をすり抜けて部屋を出て行くさまを、グリーンはちらりと流し見て、ん?と首を傾げる。今のさり気ない一連の流れが、とてつもない違和感を孕んでいる気がする。壁にかかった時計を見る。時刻は20時前だ。
「おいレッド!まだ九時なってないぞ!」
レッドが21時前に家から出るなんて、グリーンが知る限りでは初めてのことだった。いくら冬のせいで夜が来るのが早く外が暗いといっても、人通りは決して少ないわけではない。人とすれ違うことを恐れるレッドがこうして人と出会う確率がある時に自らの意思で外に出るなど、考えられないことだ。グリーンは慌てて後を追おうと二階から転がるように下りて玄関から駆け出しかけ、ふとその足を止める。
「これは…止めないほうが正解なのか…?」
どんどん小さくなっていく引きこもりの幼馴染みの背中を見て、グリーンは戸惑いに立ち尽くす。木枯らしが、迷いをあざ笑うかのように手の中の印刷紙をガサガサと揺らしては吹き抜けて行った。
心頭滅却すれば火もまた涼しという言葉がある。無念無想の境地にあれば、どんな苦痛も苦痛と感じないという意味で、1582年甲斐(かい)国の恵林寺が織田信長に焼き打ちされた際、住僧快川(かいせん)がこの偈(げ)を発して焼死したという話が伝えられているが、今のレッドはこの逆だった。管理人やらグリーンに対する怒りはすっかり頂点に達し、頭だけでなく、身体の全てが熱くグツグツと煮えたぎっている。黒の半そでTシャツにジーパンという真夏の装いのまま、木枯らし吹き荒れる薄暗い寒空の下に繰り出しても、寒さなど全く感じられない。絆創膏を巻けずに終った左親指の爪の痛みだって感じない。血も固まってしまっている。人に会う恐れすらも頭から吹き飛んだレッドが向かうのは、<真白町>唯一の雑貨屋だ。
道中数人の若い男女や老人とすれ違い視線を集めたが、怒りで前が見えていないレッドは完全にそれらの視線をスルーした。雑貨屋まではそう遠くなく、すぐさま店にたどり着く。携帯に表示された時刻は20時2分、ついさっき営業が終了したところだ。案の定店のドアにはcroseの看板がかかっていて、擦りガラスの向こうで人が動いている様子が見て取れる。ラストまで勤務している店員が閉店作業をしているのだろう。そのうち「お疲れさまです」という聞きなれた声が聞こえ、croseの看板が揺らぎドアが開いた。強盗よけの淡いオレンジ光ライトがついたままになった店内から、見慣れた少女が出てくる。少女はドア前に突っ立ったレッドに一瞬身をひるませるが、その顔を見てきょとんと眼を見開き、次の瞬間驚きに叫ぼうと口を開いた。すかさずレッドはその口を乱暴だとは思いつつ手で押さえ込む。
「むっむ!?!?」
「しー、大声出したら中の人が驚いて出てくるだろ。」
「むぅむむ。」
レッドはナギがコクコクと頷いたことを確認して手の口枷を解く。ナギはぷはっと息を吐いて吸い込み、なんと言ったらよいのか、と口を金魚のようにパクパクさせる。そんな仕草も相変わらず可愛いなぁと思いつつ、頭を撫でてさり気なく腰なんか引き寄せてみて、途端に外気の寒さを認識した。半袖Tシャツで真冬に飛び出してきたのだから当然だ。腕の中のナギは、さっきまで暖かい店内にいたせいか着ているものまで暖かい。無意識の内に熱を貰うかのように、その身をぐっと引き寄せてピトリと胸と胸を合わせた。いつもなら恥ずかしそうに身を縮ませるナギも、どうやら今日は違うらしい。興奮のせいか外気に触れたせいか分からないが、鼻先と頬をほんのり赤く染め、白い息を吐き出しながらレッドに詰め寄る。
「こんな時間にどうしたの!?」
ナギもグリーンと同じく、レッドが21時より前に家の外に出ている現場を目撃するのは小学校時に引きこもりが始まって以来初めてのことだった。驚かざるおえない出来事に、潜めた声もやや興奮気味でトーンが高い。
「ナギに会いたくて仕方なかった。」
白い息と共に吐き出されたレッドの言葉に、ナギは「へっ?」と声をあげる。言葉の意味を理解するにつれて、だんだんと顔全体が赤く染まっていくのが見ていて面白い。レッドに見つめられ、ナギはその変化を隠すように下を向くが、途端に気温の変化による鼻水が流れ落ちそうになって、慌てて顔をあげた。いつになく近い体と瞳の距離に落ち着かないのか、キョロキョロと周囲を見回しては時折レッドの表情を窺い見る。けれどもレッドが半袖なことに気付くなり、驚愕に眼を見開いてむき出しの二の腕を掴み取った。
「なんで長袖着てないの!寒くないの!?」
「ナギが側にいてくれたら暖かいよ。」
「そういう問題じゃなくって…!」
あー、もうっ。
白い吐息と一緒に少しだけ怒った声が口から漏れる。ナギは普段荷物を入れているショルダーバッグとは別の大き目の紙袋からラッピングされた包みを取り出して、レッドの胸の辺りに押し付けた。
「コレ使って。」
「なにこれ。」
ナギは何も言わず、そっぽを向いてレッドの腕からスルリと抜ける。そしてレッドを置き去りにしたまま荒々しく歩き始めた。別にそこまで腹を立てているわけではなく、近い距離に動揺してしまったことを悟られないためだった。
1人取り残されたレッドは、渡された包み(緑色の包装用紙にワインレッドのリボンとヒイラギの葉、メッセージカードが添えられている)を慎重に開く。中にはふんわりとした毛糸であまれたマフラーが入っていた。どことなく網目が揃っていない。店頭に並んでいる商品らしからぬ不ぞろいさに、もしや、と淡い期待が脳裏をよぎる。添えられたメッセージカードには女性らしいピンク色のペンで一文。
―遅くなった上にへたくそでごめんね、メリークリスマス。―
気付けばレッドは走っていた。少し先の小さな背中にすぐさま追いついて、その腕を取る。もちろんマフラーはしっかりと抱えたままで。驚いたように振り向くナギを引き寄せて、レッドは幸せをかみ締めるようにその耳元で呟いた。
「メリークリスマス。」
少し遅めのクリスマスを迎えた二人を祝福するかのように、木枯らしにまぎれた白い妖精達が降り始める。一段と寒さを増しはじめた夜の闇に紛れた1対の緑の瞳が、その様子を静かに見守っていた。
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クリスマスネタ放置してごめんなさいレッドさんごめんなさい。
超絶スランプです。先週から内定先の研修が始まってちょっと忙しいので、更新が遅くなると思います…。
2009'12.18.Fri
「なぁグリーン、デートってどうやって誘えばいいんだろう。」
「はぁ?相手誰だよ。」
「ナギだよナギ。」
「てっきりゲームで知り合ったヤツ誘うのかと思ったぜ…。デートなぁ。ってかレッドがデート?!万年引きこもりのお前が?!」
「何で床に這いつくばって耳つけてるんだ?」
「巨大な津波が来ないか確認してる。」
「そのままお前が居る部分だけ床が抜けて1階に落ちればいいのに。」
「そしたらお前の部屋に大穴があくことになるな。」
「………チッ。」
「(舌打ち?!)」
「オレは真剣なんだ。」
「鼻眼鏡つけて言っても説得力ねーよ。それどうしたんだよ。」
「適当に送った懸賞で当たったからつけてみた。」
「さいですか。」
「よしグリーン、とにかく分かりやすく演じてみてくれ。俺をシロだと思ってデートに誘うんだ!」
「シロはそんな鼻眼鏡しねーよ!!!!!」
「分からないぞ。案外明日あたり、『ねぇグリーン見て見て、当たった☆』とか言ってつけてくるかも。」
「やめてええええオレのシロのイメージ穢さないでえええええ!!!!」
「いつグリーンのになったんだよ。」
「そこは突っ込むな。凹む。だいたいその辺りはお互い様だろ。」
「…まぁな。んじゃテイクワン!」
「(いきなりいいいい!?!??!)」
「私はシロだぴょん。今日はグリーンに呼ばれて来たんだぴょん。」
「オ・イ・待・て。どう考えても太陽が西から昇ってもナイアガラが逆流してもシロのキャラじゃねーよ。ぴょんってなんだよぴょんって。」
「いや、シロって兎っぽいイメージじゃん。」
「ふっ、まぁな。」
「(何故そこでカッコつける。)」
「…しゃーねぇな、やるか。…おい、シロ!」
「なんだぴょん。」
「あのさ、来週の土曜日暇か?」
「来週の土曜日はヤンマーニ族と会合があるんだぴょん。」
「そ、そうか。じゃあ日曜は?実は映画のチケットがあまってるんだ。」
「日曜はピアノのお稽古なんだぴょん。」
「そ、そうだったな…。じゃあ再来週の月曜は?」
「ウッホリ戦隊ウホレンジャーの再放送をナマでみたいんだぴょん。」
「ウッホ…?ま、まぁいい、じゃあ水曜は?」
「ナナミさんとデートなんだぴょん。」
「くっ、姉さんのやろう…。じゃあ金曜は?」
「コケムシ太郎さんとデートなんだにゃ。」
「お前絶対OKする気ねーだろがあああああああ!!!!コケムシ太郎って誰だよくっそおおおおおド畜生おおおおおおお!!!大体ヤンマーニ族って何だよヤンヤンマかよヤンヤンマが会合すんのかよ!!!それからウッホなんちゃらレンジャーってなんだよ!!俺と行く映画よりどんだけ魅力的なんだよそのウッホなんちゃら!!!しかも再放送の時点でナマでもなんでもねーよ!!!!あと姉さん邪魔すんじゃねえええええ!!!!!にしてもコケムシ太郎マジ許さねぇこのコケムシ太郎のピー――――(お聞かせできない暴言を吐いております)!!!!!」
「あ、グリーンごめん。シロとボイチャしてたの繋いだままにしてた。」
「………え?…………うわああああああああああオレもう嫁にいけねえええええええええええ!!!!!!!!!」
バタバタという足音ともに扉が壊れるほどの力を込めて内側から開かれる。オレの部屋から飛び出したグリーンは、階段を転がり落ちるように下りていった。相当パニックになっているようだ。
ボイチャしてたのは冗談なんだけど。聞かずに出て行ったアイツが悪いってことで。
**********
私はグリーンも大好きです、信じてくださ(ry
「はぁ?相手誰だよ。」
「ナギだよナギ。」
「てっきりゲームで知り合ったヤツ誘うのかと思ったぜ…。デートなぁ。ってかレッドがデート?!万年引きこもりのお前が?!」
「何で床に這いつくばって耳つけてるんだ?」
「巨大な津波が来ないか確認してる。」
「そのままお前が居る部分だけ床が抜けて1階に落ちればいいのに。」
「そしたらお前の部屋に大穴があくことになるな。」
「………チッ。」
「(舌打ち?!)」
「オレは真剣なんだ。」
「鼻眼鏡つけて言っても説得力ねーよ。それどうしたんだよ。」
「適当に送った懸賞で当たったからつけてみた。」
「さいですか。」
「よしグリーン、とにかく分かりやすく演じてみてくれ。俺をシロだと思ってデートに誘うんだ!」
「シロはそんな鼻眼鏡しねーよ!!!!!」
「分からないぞ。案外明日あたり、『ねぇグリーン見て見て、当たった☆』とか言ってつけてくるかも。」
「やめてええええオレのシロのイメージ穢さないでえええええ!!!!」
「いつグリーンのになったんだよ。」
「そこは突っ込むな。凹む。だいたいその辺りはお互い様だろ。」
「…まぁな。んじゃテイクワン!」
「(いきなりいいいい!?!??!)」
「私はシロだぴょん。今日はグリーンに呼ばれて来たんだぴょん。」
「オ・イ・待・て。どう考えても太陽が西から昇ってもナイアガラが逆流してもシロのキャラじゃねーよ。ぴょんってなんだよぴょんって。」
「いや、シロって兎っぽいイメージじゃん。」
「ふっ、まぁな。」
「(何故そこでカッコつける。)」
「…しゃーねぇな、やるか。…おい、シロ!」
「なんだぴょん。」
「あのさ、来週の土曜日暇か?」
「来週の土曜日はヤンマーニ族と会合があるんだぴょん。」
「そ、そうか。じゃあ日曜は?実は映画のチケットがあまってるんだ。」
「日曜はピアノのお稽古なんだぴょん。」
「そ、そうだったな…。じゃあ再来週の月曜は?」
「ウッホリ戦隊ウホレンジャーの再放送をナマでみたいんだぴょん。」
「ウッホ…?ま、まぁいい、じゃあ水曜は?」
「ナナミさんとデートなんだぴょん。」
「くっ、姉さんのやろう…。じゃあ金曜は?」
「コケムシ太郎さんとデートなんだにゃ。」
「お前絶対OKする気ねーだろがあああああああ!!!!コケムシ太郎って誰だよくっそおおおおおド畜生おおおおおおお!!!大体ヤンマーニ族って何だよヤンヤンマかよヤンヤンマが会合すんのかよ!!!それからウッホなんちゃらレンジャーってなんだよ!!俺と行く映画よりどんだけ魅力的なんだよそのウッホなんちゃら!!!しかも再放送の時点でナマでもなんでもねーよ!!!!あと姉さん邪魔すんじゃねえええええ!!!!!にしてもコケムシ太郎マジ許さねぇこのコケムシ太郎のピー――――(お聞かせできない暴言を吐いております)!!!!!」
「あ、グリーンごめん。シロとボイチャしてたの繋いだままにしてた。」
「………え?…………うわああああああああああオレもう嫁にいけねえええええええええええ!!!!!!!!!」
バタバタという足音ともに扉が壊れるほどの力を込めて内側から開かれる。オレの部屋から飛び出したグリーンは、階段を転がり落ちるように下りていった。相当パニックになっているようだ。
ボイチャしてたのは冗談なんだけど。聞かずに出て行ったアイツが悪いってことで。
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私はグリーンも大好きです、信じてくださ(ry
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