2009'12.11.Fri
小さな花が窓辺の小瓶に活けてある。
そんな小粋なことをするのは、目の前のトンガリ少年ではなくて彼のお姉さんの仕業だろう。「可愛い花だね」といえば、案の定少年は訝しげに花瓶を見つめて、「さっきまではなかったはずなのに」と首をかしげた。やはりこの花は彼の姉による演出と思っていいらしい。
このトンガリ頭の少年の姉はいろいろな花言葉を知っていて、聞けば大抵の花言葉を答えれるほど花に詳しいし、時折自分宅の庭で自ら花を育てていることがある。
小さきものにも愛情を注げる優しさを持っているのだろう。たまに包んだ花を弟に持たせて持ってきてくれることがあるから、人に対しても優しいのは確実だ。事実家にお邪魔する際に何度か会う機会があったが、どんなときも優しく丁寧に対応してくれる。
姉が居ないシロにとって、彼女はまるで本当の姉のような存在だった。好きかどうかと問われれば、迷うことなく好きだと言える。ある意味崇拝するほど懐いてるわけだが、残念ながら純粋無垢なシロは、彼女がシロを見るたびに己の弟といちゃついてるシーンを妄想しては、実際に妹になってくれればいいのに切に願っている事実を知るよしもない。
「それにしても、まさか大学が急にインフルエンザの影響で2週間休校になるなんて思いもしなかった。」
男性が主にしては小奇麗な部屋で、シロは朝送られてきた友達からのメールの内容を嬉々として読み上げた。今世間を騒がせている新型インフルエンザの大学における発症者がとうとう規定値に達し、2週間の休校になった。突然出来た14日という暇な時間に嬉しくなり、昔住んでいた町の幼馴染みに連絡を取って遊びにきたわけだ。何日でも泊まっていいとのことだったので、4日分の下着と衣服と化粧品一式を詰めてきた鞄はパンパンだったが、すぐ近くの町まで迎に来てくれた幼馴染みが再会するなり持ってくれたので、道中その重さに参ることはなかった。
久々の真白<まさら>町、久々の幼馴染みの家、久々の幼馴染みの部屋。不思議と心はわくわくし、もともと溌剌とした性格もあいまってテンションも軽快なものとなる。カーペットの上に置かれた白いクッションが昔からシロのお気に入りであり定位置で、それは幼馴染みも心得ていた。ずっと昔あらある年代物だからそれなりに汚れてボロくなってしまっているが、今なお捨てずに取ってあるのはそのためだ。その向かい、ガラス机を挟んだ正面には、汚れは目立たないものの、年代を感じさせるほど色あせた黒いクッションが置いてある。そこがシロが部屋に来たときに少年が座る場所だった。けれども彼はすぐには座らず、一旦シロの鞄を肩から下ろすと、少しの間廊下側の何の飾りも無い殺風景な壁を見て、小さく息をつきながらドアを開けた。
「姉さん、何してるんだ。」
「あらグリーン、シロちゃんが来てるって聞いたからご挨拶しておこうかしらと思って。」
「だからといって壁にへばりつく必要性は無いと思うんだが。っていうか手にある丸まった雑誌は何だ。」
「通路をゴキブリが歩いていたから、恐くて出来るだけ避けていたの。コレはヤツ撃退用の武器よ。」
「仕留めたのか?」
『イーブイが咥えてどこかに持って言っちゃったわ。』
「アイツ…。」
幼馴染みことグリーンが対話している人物は間違いなく彼の姉であるナナミだ。シロはすぐさまクッションから跳ねるように立ち上がってドアに近付き、グリーンの腕の下からヒョコリと廊下を窺った。敬愛するお姉さまに挨拶しなければ気がすまない。けれども廊下に居たナナミはなんとも奇妙なポーズで固まっていた。先ほどの会話の流れからすると、シロに挨拶をしに2階のグリーンの部屋前まで来たはいいが、そこでうっかりゴキブリに出会ってしまったらしい。逃げ腰になりつつも手に持っていた雑誌『月刊花畑』で撃退しようとしたところ、イーブイという名のゴールデンレトリバーが咥えて持っていってしまったようだ。イーブイはグリーンにとても懐いていて、所構わず舐めようとしていたはずだ。その口がゴキブリを咥えたとなれば、グリーンも思わず嫌な顔をせずにはいられないのだろう。案の定、グリーンは極限まで眉を顰めている。
「」
**************
こっちで打ち込んでいたらおかしくなったので、途中からメモにコピーして書きました。
起きたらグリーンヒロインで変換できるようにしてうpします。
とんでもなく時間がかかってしまった・・・。
そんな小粋なことをするのは、目の前のトンガリ少年ではなくて彼のお姉さんの仕業だろう。「可愛い花だね」といえば、案の定少年は訝しげに花瓶を見つめて、「さっきまではなかったはずなのに」と首をかしげた。やはりこの花は彼の姉による演出と思っていいらしい。
このトンガリ頭の少年の姉はいろいろな花言葉を知っていて、聞けば大抵の花言葉を答えれるほど花に詳しいし、時折自分宅の庭で自ら花を育てていることがある。
小さきものにも愛情を注げる優しさを持っているのだろう。たまに包んだ花を弟に持たせて持ってきてくれることがあるから、人に対しても優しいのは確実だ。事実家にお邪魔する際に何度か会う機会があったが、どんなときも優しく丁寧に対応してくれる。
姉が居ないシロにとって、彼女はまるで本当の姉のような存在だった。好きかどうかと問われれば、迷うことなく好きだと言える。ある意味崇拝するほど懐いてるわけだが、残念ながら純粋無垢なシロは、彼女がシロを見るたびに己の弟といちゃついてるシーンを妄想しては、実際に妹になってくれればいいのに切に願っている事実を知るよしもない。
「それにしても、まさか大学が急にインフルエンザの影響で2週間休校になるなんて思いもしなかった。」
男性が主にしては小奇麗な部屋で、シロは朝送られてきた友達からのメールの内容を嬉々として読み上げた。今世間を騒がせている新型インフルエンザの大学における発症者がとうとう規定値に達し、2週間の休校になった。突然出来た14日という暇な時間に嬉しくなり、昔住んでいた町の幼馴染みに連絡を取って遊びにきたわけだ。何日でも泊まっていいとのことだったので、4日分の下着と衣服と化粧品一式を詰めてきた鞄はパンパンだったが、すぐ近くの町まで迎に来てくれた幼馴染みが再会するなり持ってくれたので、道中その重さに参ることはなかった。
久々の真白<まさら>町、久々の幼馴染みの家、久々の幼馴染みの部屋。不思議と心はわくわくし、もともと溌剌とした性格もあいまってテンションも軽快なものとなる。カーペットの上に置かれた白いクッションが昔からシロのお気に入りであり定位置で、それは幼馴染みも心得ていた。ずっと昔あらある年代物だからそれなりに汚れてボロくなってしまっているが、今なお捨てずに取ってあるのはそのためだ。その向かい、ガラス机を挟んだ正面には、汚れは目立たないものの、年代を感じさせるほど色あせた黒いクッションが置いてある。そこがシロが部屋に来たときに少年が座る場所だった。けれども彼はすぐには座らず、一旦シロの鞄を肩から下ろすと、少しの間廊下側の何の飾りも無い殺風景な壁を見て、小さく息をつきながらドアを開けた。
「姉さん、何してるんだ。」
「あらグリーン、シロちゃんが来てるって聞いたからご挨拶しておこうかしらと思って。」
「だからといって壁にへばりつく必要性は無いと思うんだが。っていうか手にある丸まった雑誌は何だ。」
「通路をゴキブリが歩いていたから、恐くて出来るだけ避けていたの。コレはヤツ撃退用の武器よ。」
「仕留めたのか?」
『イーブイが咥えてどこかに持って言っちゃったわ。』
「アイツ…。」
幼馴染みことグリーンが対話している人物は間違いなく彼の姉であるナナミだ。シロはすぐさまクッションから跳ねるように立ち上がってドアに近付き、グリーンの腕の下からヒョコリと廊下を窺った。敬愛するお姉さまに挨拶しなければ気がすまない。けれども廊下に居たナナミはなんとも奇妙なポーズで固まっていた。先ほどの会話の流れからすると、シロに挨拶をしに2階のグリーンの部屋前まで来たはいいが、そこでうっかりゴキブリに出会ってしまったらしい。逃げ腰になりつつも手に持っていた雑誌『月刊花畑』で撃退しようとしたところ、イーブイという名のゴールデンレトリバーが咥えて持っていってしまったようだ。イーブイはグリーンにとても懐いていて、所構わず舐めようとしていたはずだ。その口がゴキブリを咥えたとなれば、グリーンも思わず嫌な顔をせずにはいられないのだろう。案の定、グリーンは極限まで眉を顰めている。
「」
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こっちで打ち込んでいたらおかしくなったので、途中からメモにコピーして書きました。
起きたらグリーンヒロインで変換できるようにしてうpします。
とんでもなく時間がかかってしまった・・・。
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